遺言は主として書かれた内容に法的効力をもたせることを目的として作成します。
この法律上効力を持たせるために記載する事項を「法定遺言事項」といいます。
そして遺言にはもう一つ、法的効力を直接発生させることを目的としない事項を記載することができます。
これを「付言事項」といいます。
この「付言事項」には、例えば、残された家族へのメッセージや、葬儀、納骨に関する希望などを記載することになります。
「付言事項」は必ず記載する必要はなく、「付言事項」がない遺言も多数存在します。
では「付言事項」をあえて遺言書に記載する意味はどこにあるのでしょうか?
それは、遺言者がご自身のお気持ちを自由に書くことによって、遺言書が生き生きとし言わば血の通ったものになるところこあります。
事実「付言事項」の一切ない定型的な文章の遺言を読んだ時と具体的な生前の思い出とともに、感謝の気持ちが書かれた遺言を読んだ時とでは、遺族の気持ちに大きな差異が生まれます。
確かに本人が書いたものであるという信憑性とご本人に対する懐かしさがこみあげてきます。
私は、この「付言事項」があったお蔭で、円満な相続ができたという事例を多く見てきました。
そこには、遺言を書く至った理由とそれぞれの相続人に対する感謝の気持ちと仲良くやってほしいという願いが込められていたのです。
遺言を作成されるときは是非この「付言事項」を記載されることをお勧めします。